『田園の詩』NO.104「来賓席から見た運動会」(1999.10.19)


 我が町には小学校が6校、中学校が3校ありますが、過疎化が進み、いずれも小規模校に
なってしまいました。しかし、子供達は少ないながら、9月末から10月始めにかけて、各学校
とも盛大な運動会が開催されます。

 今年も私は、9月26日に全校42名の地元の小学校と、27日に息子の通っている全校
66名の中学校に参加しました。

 例年なら、父母の応援席で子供達を横から見る位置で観戦するのですが、今年は、教育
委員なる役目を持たされたために、正面の来賓席からの観戦となりました。

 座る場所が違うだけで、思わぬ発見ができるものです。というより、いままで見過ごしていた
ことに気が付いたという方が正確かもしれませんが…。

 一つは準備運動のことです。ラジオ体操をしたのですが、私はいつものように自分の体が
覚えている通りに行いました。足を出す時は左側に、上体を曲げる時は左側から…。それは
動作としては子供達と全く同じですが、お互いに向き合った場合は反対の方向になります。

 そのことに気が付いた私は、ふと横に並んだ先生方を見ました。なんと全員(小・中とも)
が子供達と同じ方向に体を動かしていました。「さすがだなあ」と感心するとともに、先生方
の気概を見る思いがしました。


       
     山浦小学校の今年の運動会の写真です。先生方、ちゃんと子供たちと同じ方向に
      なるように体操をしています。写真の右側に地区民の応援席があり、沢山の人出
      だったのですが、残念ながら写しきれませんでした。  (09.9.27写)



 もう一つは、閉会式(中学校)の時に、総合得点で負けた白組の中に涙を流している生徒達
がいたことです。

 私は、自分の学校時代の運動会を思い出してみました。確かに紅白に分かれて戦った覚え
はある。負けたこともあったろう。しかし、悔し涙を流す子供はいなかった…。

 多分、当時は生徒が多く、自分達の組の仲間意識が希薄で、勝敗が感情を強く揺り動かす
ことはなかったのでしょう。その点、全校66名が紅白に分かれたら33名。少ない人数で力を
合わせて競技する内に得点も伯仲、パワーも全開!

 悔し涙が、全力を出し切って燃焼した結果だとしたら、こんな充実した素晴らしい運動会が
できる子供達は幸せだと思います。           (住職・筆工)

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